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since : 26/May/1998


「で、で、で、でも、でも〜」
 あぁ〜、ドモりまくってるよ。まったく。
 どこまで単純、いや、素直すぎるんだか。

「デモじゃないって」
「だって、綾香さんあんなにすごいこと」
「だぁかぁらぁ〜、あれは大会に向けての宣伝! やらせだって言ってるだろ?」
 さっきから、こればっかりだよ。

 話の発端は、昨夜、TVのスポーツニュースで放映された、第3回エクストリーム大会の直前情報で出た綾香だ。
 その中で、綾香は近代装置(なんだかわからなかったがとにかくすごかった)を使った練習風景を中心にやっていたのだが、その最後に、エクストリーム大会出場者の男(というふれこみだった)10人を相手に10人がけを行ったのだ。
 そして10戦全勝。
 これに、葵ちゃんは驚愕を覚えたらしいのだが。

 しかし、同じ大会に出場する、それも男が、この時期にわざわざ(いくら相手が昨年の優勝者・来栖川綾香とはいえ)女と対戦しに行く、なんてことはそうはないだろう。
 当然、TV局側が大会盛り上げのPRに、さくらを使ったに決まっている。

 と、いくら、俺が諭すようにいっても葵ちゃんは頑に、
「でも、でも、綾香さんですよ。綾香さんなら全然不思議ではないんです!」 
 まぁ、この調子だ。

 たしかに、綾香の実力をもってすれば、不可能ではない。
 だけど、葵ちゃんだって。
「葵ちゃんだって、いつも男の俺を相手にしてるだろ? そりゃぁ、俺はまだまだのやつだけどな」
「え? え? そ、そんなことはないです!」
「へ?」
 唐突に、大声をあげるもんだから、思わず間抜けな返事をしてしまった。

「先輩、強くなりましたよ。この半年で、信じられないほどに!」
「あ、あぁ。そっちのことか」
 どうやら、俺が自分のことを、まだまだって言ったことに対してみたいだ。
「先輩、ホントに強くなって、わたしも、もう危ないですから」
 声はどんどん小さくなって、語尾はほとんど聞き取れないほどだった。


「ほら、葵ちゃんは強いんだよ」
「え?」
「ここまで強くなれたのは、葵ちゃんが、強い葵ちゃんが教えてくれたからだぞ」

 我ながら変な理屈だ。
 でも、自信を失いかけた葵ちゃんには、葵ちゃん自身の強さを認識させることだってのはわかってるからな。
 問題は、どうやってそれを力に変えてあげるかだけどな。

「でも、それでも綾香さんは」

 よし、いちかばちかだ。
「葵ちゃん」
「は、はい!」
「葵ちゃんがエクストリームを目指したのは、何の為だった?」
 突然の問いに、きょとんとする葵ちゃんに、
「何の為?」
 なるべくだけ、優しく問いかけてやる。

「あ、あの、綾香さんみたいになりたくて、綾香さんに追いつきたくて!」
「だよな」
「はい!」

 そこで、とっておいた言葉を言う。

「じゃぁ、綾香に追いつきたいのは誰?」
「え? わ、わたしです」
「だよな?」
「は、はい」
 葵ちゃんは俺の真意をはかりかねている。

「だったらさ、葵ちゃん。大事なのは相手の綾香じゃなくて、自分自身をしっかりと見ることなんだぞ」
「え? あ、はい」
「葵ちゃんだって、今まで一生懸命練習してきたじゃないか。それは一緒にやってきた俺が保証するよ」
「…はい」
「だから大丈夫。葵ちゃんだって前よりもっともっと強くなってるんだよ」
「え? そ、そんなことは…」
「…あるって。ひょっとしたらあんまり実感がわかないのは、相手をしている俺が強くなり過ぎちゃったってことかも…なんてな」
 まぁ最後の一言は言い過ぎかも知れないけど、葵ちゃんが自分でいったことだから効果あるかも。

「…そうですね。そうかも知れません」
 葵ちゃんは苦笑いしながらそういった。
「先輩、それってすごく変な理屈じゃないですか?」
「…やっぱりそうかな」
 うーん…失敗だったかなぁ…。
「でも、なんとなく納得しちゃってます、私」
「…へっ?」
 そういった俺の顔はさぞ間の抜けていたことだろう。

 葵ちゃんが話し始めた。その顔にはさっきまでの緊張や不安はあまり感じられなかった。
「なんででしょうね。先輩がいってくれるとなんとなく信じちゃいます」
「葵ちゃん…」
「…ほら、あのときの『葵ちゃんは強い!』みたいに」

 …坂下との決戦のとき、エクストリームと空手の意地をかけた試合の重圧に潰されかけていた葵ちゃんに俺が出来たただひとつのこと。今日のことも結局はそれと同じことなのかも知れない。

「あのときも、私は先輩を信じて、そして勝つことが出来ました。だから今度も先輩を信じます」
「うーん…なんかプレッシャーだなぁ」
「だから先輩も一緒に頑張りましょうね」

 そういって微笑む葵ちゃん。その表情は今の夕焼けのように晴れやかだ…へっ? 夕焼け?

「葵ちゃん! 練習練習! もうこんな時間だよ」
「…あ、すっかり話し込んじゃいましたね」
「じゃあ葵ちゃんの調子も戻ったところで軽く汗を流して今日は終わるか」
「そうですね! じゃあ早速始めましょうか!」

 神社の境内にいつものようにサンドバッグの音が響きわたる。
葵ちゃんにもう迷いはないと思う。例えあったとしても、2人なら乗り越えて行けるだろう。

 エクストリーム大会まで、あと…。


 < 完 >


 
あとがき♪
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 …なんか間違ってないかなぁ…というわけで、気がついたら
共同作成者その1になってる瑞希です(^_^;)

 大体ネタ出しと前半部分(半分強くらい)担当がはぐさんで、
後半が私担当です(これでなんで私がその1なんだろう(笑))。

 ほんとうにひょんなことから続きを書かせていただくことになりまして(笑)。
四苦八苦しながら書き終えました。ちゃんとつじつまが合ってるかが
結構不安です(^_^;;;)

 書き終えて、なんか浩之って本当に「心の支え」なんだなぁと感じてます。

                      封神崎 瑞希

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ども、共同作成者その2のはぐっすぅ(笑)
いやぁ、おいらがネタずまりして、書いてって渡した作品に痕書など書いていい物だろうか(笑)

 さてさて、このお話はですねぇ…ぇ…あれ?
どんなだっけか?(..;)どれどれ?
あぁ、あぁ、なるほどね。
こういう話です(ぉひ

 ホントは、葵ちゃん応援ページの10000HiT記念用に書いてたんですが、
まぁ、ネタが詰まったんだから仕方あるまいヾ(--;)
まぁ、そんなわけで、ひょんな事から(嘘)瑞希さんに依頼したわけで、
書きおえてくれた瑞希さんには感謝感謝ですぅ(^人^;)

                はぐ@黄昏崩壊人[multi@suki.net]

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